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カフェは元々仕事をするところだった!「世界を変えた6つの飲み物」

モバイラーズオアシスでは、仕事のできるカフェを取り上げているのですけど、 ときどき「カフェは飲み物を飲むところであって仕事をする所じゃない」とおっしゃる方を見かけます。
それはそれで一つの価値観だとは思うのですけど、最近読んだ本で、「カフェはもともとビジネスをするための場所だった」という話を見かけて面白かったのでご紹介します。

世界を変えた6つの飲み物 - ビール、ワイン、蒸留酒、コーヒー、紅茶、コーラが語るもうひとつの歴史
17世紀のヨーロッパのビジネスマンが、たとえば最新のビジネス情報をチェックしたい、物価の動向を知りたい(中略)と思ったら、とにもかくにも、コーヒーハウスに行きさえすればよかった。
コーヒー一杯の値段で、最新のパンフレットと新聞が読め、ほかの客たちと歓談し、取引をまとめ、文学または政治討論に参加することができたからだ。
『タトラー』の編集者リチャード・スティールは発行所の郵便宛て先を、科学者たちのお気に入りのコーヒーハウス、グレシアンにしていた。
これもまた、コーヒーハウスがもたらした革新の一つで、1680年にロンドンで1ペニー郵便制が誕生して以降、コーヒーハウスを郵便の宛先として使う習慣が一般に広まった。 常連客は一日に1、2度、決まったコーヒーハウスに顔を出しては、コーヒーを一杯飲み、自分宛に郵便物が届いていないかをチェックできたのである。

コーヒー飲みながら商談をする程度は現代でも見られますけど、ニュースレターで情報交換して、郵便物まで受け取ってしまうとなると、もはや飲み物のための場所というよりは、人が集まる名目として飲み物を出している場所、ですよね。

こうしたカフェでの仕事を容認することで、新しい事業もたくさん生まれています。
保険市場として有名なロイズや、現代でも有名な株式市場であるロンドン証券取引所も、元はコーヒーハウスとして始まりました。
株はもともと、他の品と並んで王立取引所で売買されていたのですが、上場会社の数が増加して取引活動が活発になると、政府は仲介人と仲買人の数を抑えるための法律を制定します。 この法律に反発した人たちが、取引所近くに集まって私設取引を初めたのが、エクエスチェンジ・アレー通りのジョナサンズというカフェでした。
ここでの取引はどんどん大きくなり、やがて100以上の仲介業者が集まるようになります。
取引量が増えるにしたがって、コーヒーハウスという非公式な取引場の弊害が目立ち始める。そこで、支払いを怠った仲介人については、ジョナサンズへの出入りを禁止することにした。 もちろん、他の店での取引は可能だったが、ジョナサンズから締め出されることは、仲介人にとってビジネス上の大きな損失を意味した。
それでも依然として問題が残ったため、1726年、150の仲介業者からなる団体は、ジョナサンズの経営者と協定を結ぶ。 一人年間8ポンドを支払い、店内の使用許可を得るとともに、信用できない仲介人を除外および排除する権利を行使できる、というものだったが、この計画はひとりの締め出された仲介人によって見事に失敗する。この仲介人が、コーヒーハウスは公共の場であり、誰もが自由に出入りできなければおかしい、と主張したからだ。
そこで1773年、ジョナサンズの証券取引業者の団体は、店を離れて新しい建物に移る。ここは当初、ニュー・ジョナサンズと呼ばれたが(中略)、まもなく別の名前に変えている。「ニュー・ジョナサンズはストック・エクスチェンジに改名し、扉にこの名称を掲げることに決定した。」-これが今のロンドン証券取引所の前身である

最後は大きくなりすぎてカフェじゃなくなってしまったわけですが、カフェは新しい事業が生まれるためのゆりかごとして機能していたのですね。

もちろん、昔のカフェがビジネスを歓迎していたから今のカフェもそうでないといけない理由はないですけど、 歴史的にそうやって経営を成り立たせていたカフェがたくさん存在したという事実はなかなか興味深いと思いました。

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